ブログ|有限会社三陽鉄工所

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三陽鉄工所メカニック通信~12~

皆さんこんにちは!

有限会社三陽鉄工所の更新担当の中西です。

 

これからの鉄工所業

鉄工所といえば、昔ながらの職人の世界という印象を持つ人もいるかもしれません。しかし現在、鉄工所業は変化の途上にあります。加工機械の高度化、デジタル化、設計ツールの進化、品質管理の高度化、そして現場ニーズの多様化。これらが重なり、鉄工所は「伝統的な技術」と「新しい技術」を掛け合わせながら進化しています。ここに、これからの鉄工所業の大きな魅力があります。

まず、オーダーメイド需要の強さは今後も続く可能性が高いです。建物も工場も、同じ条件のものはありません。既存設備の更新、老朽化対策、耐震補強、用途変更、テナント入れ替え、設備の増設。こうした場面では既製品で対応できないことが多く、現場寸法に合わせた加工や、干渉を避ける設計変更が必要になります。鉄工所は「現場に合わせて作れる」ことが強みであり、この強みは代替されにくい。大量生産品が発達した時代でも、一品ものを形にできる技術は価値を持ち続けます。

次に、デジタル化が鉄工所の品質と効率を押し上げています。CADによる図面作成や修正、CAMによる加工データ作成、部材管理のバーコード化、工程管理のシステム化など、現場を支える仕組みが整うほどミスが減り、品質が安定します。特に、取り違えや寸法ミスといったヒューマンエラーの低減は、利益にも直結します。デジタル化は「職人技を置き換えるもの」と捉えられがちですが、実際には職人が持つ判断力や現場感覚をより活かすための土台にもなります。正確な情報共有ができるほど、現場の意思決定が速くなり、難易度の高い仕事に集中できるからです。

加工機械の進化も見逃せません。レーザー加工機や高精度の切断機、プレスブレーキ、溶接機器などが高度化すると、短時間で高精度の部材が作れるようになります。これにより、鉄工所はより複雑な形状や短納期の案件にも対応しやすくなります。機械が進化すればするほど、求められるのは機械の操作だけではなく、「どう作れば最も合理的か」を考える力です。材料取りの設計、加工順序、治具の工夫、溶接歪みの抑制、現場での据付性。こうした総合判断ができる人材ほど価値が高くなります。つまり、機械化が進んでも人の仕事は消えない。むしろ、より高度な判断が求められる方向へとシフトする可能性があります。

また、社会全体の安全意識や環境意識も、鉄工所業の価値を高めています。安全に配慮した構造設計、作業者の動線を考えた架台や手すり、腐食を抑える材料選定や防錆仕様。こうした提案ができる鉄工所は、単なる加工屋ではなく“現場のパートナー”として選ばれます。価格競争だけではなく、提案力と品質で差がつく時代です。現場を知る鉄工所だからこそ提供できる価値が増えているとも言えます。

鉄工所業の未来を考えるとき、最後に行き着くのは「人の技術」の重要性です。どれだけ機械が進化しても、現場は一つとして同じではありません。施工条件が違い、既存設備の癖があり、想定外の干渉や寸法差が生じます。そのときに必要なのは、経験に基づく判断力と、現場で解決できる加工技術です。鉄工所の価値は、こうした現場対応力にあります。そしてその力は、長年の積み重ねで磨かれます。だから鉄工所は、今後も必要とされ続ける可能性が高い仕事であり、同時に進化し続ける面白さを持つ仕事です。

鉄工所業の魅力は、伝統的な加工技術と、これからの技術革新が融合していくところにあります。社会の骨格を作り、現場の課題を解決し、長く残る構造物を形にする。その仕事は、今もこれからも、多くの人の暮らしと産業を支えるでしょう。鉄工所は、過去から未来へつながる“ものづくりの中核”として、今後も大きな魅力を持ち続ける仕事です。

 

三陽鉄工所メカニック通信~11~

皆さんこんにちは!

有限会社三陽鉄工所の更新担当の中西です。

 

「人を育てる」仕事

鉄工所業の魅力は、完成品の達成感や社会的意義だけではありません。働く側の視点から見ると、鉄工所は“成長しやすい職場”であり、“手に職”としての強みを実感しやすい世界です。経験がそのまま実力となり、できることが増えるほど価値が上がる。ここには、仕事としての確かな魅力があります。

鉄工所の仕事は、知識と技術が積み上がるほど成果が出やすくなります。最初は材料の名前や工具の扱い、基本的な安全管理を覚えるところから始まります。やがて寸法取りや墨出しができるようになり、切断の精度が上がり、穴あけの段取りが組めるようになります。さらに溶接では、狙ったビードを安定して出せるようになり、歪みを抑える工夫ができるようになります。組立では直角や通りを出せるようになり、治具を考案して作業効率を上げることもできるようになります。こうした成長は、日々の現場での体験を通じて積み上がり、「昨日できなかったことが、今日はできる」という形で実感できます。この実感は、仕事を続ける力になります。

鉄工所の技能が強いのは、それが“持ち運べる”からです。鉄を扱う現場は、建築金物、プラント、製造ライン、機械設備、輸送設備など、業界をまたいで存在します。図面を読み、材料を加工し、溶接で組み上げ、現場で納める。こうした技能は、環境が変わっても活きることが多い。つまり、スキルが自分の資産になります。これは手に職として非常に大きな魅力です。社会の状況が変化しても、ものづくりの基盤がなくなることはありません。むしろ老朽化対策や設備更新が増えるほど、鉄工所の技術は必要とされます。

また鉄工所業は、資格や講習によって仕事の幅が広がりやすい世界でもあります。玉掛け、クレーン、フォークリフト、ガス溶接、各種溶接技能など、現場で必要とされる資格が多く、取得すれば任される範囲が増えます。資格があることで安全に作業できる範囲が広がり、責任ある仕事を担当しやすくなる。さらに経験が積み上がると、工程管理や現場管理、品質管理、見積や提案といった領域へも広がっていきます。現場の作業者としての熟練だけでなく、管理や提案の側へキャリアを伸ばせる点も魅力です。

鉄工所の現場は、個人プレーではなくチームで成果を出す場面が多いです。切断担当、穴あけ担当、溶接担当、組立担当、塗装担当、据付担当。現場の規模が大きくなるほど、役割分担が明確になり、連携が品質に直結します。段取りを共有し、工程を組み、互いの作業が次工程のやりやすさにつながるように配慮する。こうした連携がうまくいったとき、現場は驚くほどスムーズに回ります。そして完成した製品が現場で無事に取り付けられ、問題なく稼働したとき、チーム全体で得られる達成感は大きい。鉄工所は、協力して一つのものを完成させる喜びが味わえる仕事です。

さらに鉄工所業は、「誇り」を持ちやすい仕事でもあります。自分たちが作るものは、建物や設備の一部となり、長い期間にわたって使われ続けます。安全に関わる構造物であればあるほど、その責任は重いですが、裏を返せば社会の安全を支える重要な役割を担っているということです。街を歩けば、自分が関わった仕事が形として残っていることもあります。それは、仕事が生活のどこかに確実に繋がっているという実感につながります。目立たないが、欠かせない。鉄工所業の魅力は、こうした価値を日々の仕事の中で体感できるところにあります。

鉄工所で働くことは、単に加工技術を身につけるだけではありません。段取り力、問題解決力、安全意識、コミュニケーション力、品質への責任感など、社会で求められる基礎的な力が総合的に鍛えられます。難しい案件に向き合い、試行錯誤し、改善を積み重ねる。その過程で人は成長します。鉄工所業は、ものづくりを通じて人を育て、人生の仕事として長く続けられる魅力を持った世界です。

三陽鉄工所メカニック通信~10~

皆さんこんにちは!

有限会社三陽鉄工所の更新担当の中西です。

 

切る・空ける・曲げる・つなぐ・守るの奥深さ

 

鉄工所の仕事は「鉄を加工する」と一言で表されがちですが、実際には工程ごとに異なる技術と判断が求められます。切断、穴あけ、曲げ、溶接、組立、仕上げ、防錆、塗装。どれも単純作業のように見えて、実は品質と安全を左右する重要な工程です。そして鉄という素材は、加工を誤ると修正が難しく、時間とコストが大きく膨らむことがあります。そのため鉄工所では、基本を確実に積み上げ、段取りを徹底し、工程全体を見通す力が鍛えられます。ここに、鉄工所業ならではの面白さがあります。

まず切断。鉄の切断は、バンドソー、メタルソー、ガス切断、プラズマ切断、シャーリング、レーザー切断など、材料や要求精度、加工量、コストによって手法が変わります。同じ鋼材でも厚みが違えば方法が変わり、仕上げの要求が高ければ切断面の品質が重要になります。切断の精度が悪いと、後工程の穴あけ位置がズレたり、組立の直角が出なかったり、溶接で隙間が出て品質が落ちたりします。つまり切断は、加工の最初にして“後工程の品質を左右する要”です。良い鉄工所ほど、切断工程の管理が丁寧です。寸法の取り方、切断後のバリ取り、熱影響の考慮など、地味な部分を徹底します。

次に穴あけ。穴位置の精度は、現場施工の可否に直結します。ボルト穴が一つでもズレれば、現場で締結できず、長穴加工や再加工が必要になり、場合によっては部材の作り直しになります。穴あけは単純に見えて、実は最も「取り返しがつきにくい」工程の一つです。だから墨出し、治具、固定方法、ドリルの選定、回転数、切削油の使い方など、基本を徹底しながら精度を出します。穴位置の精度を守り切れることは、鉄工所の信頼に直結します。ここを安定してできるようになると、現場でのトラブルが減り、仕事の質が一段上がります。

曲げは、さらに奥深い分野です。板金加工や形鋼の曲げでは、スプリングバック(戻り)や割れ、局所的な伸び、歪みなどの問題が起きやすい。特に板厚が増すほど、曲げの反発が強く、狙い通りの角度が出にくくなります。曲げ順序や曲げRの取り方を誤ると、後工程の組立が成立しません。現場で求められる曲げは、「見た目が曲がっている」というだけでなく、寸法と角度を満たし、取り付けが成立することが求められます。ここでは経験がものを言います。素材や板厚による癖、機械の特性、治具の工夫。繰り返しの中で“体が覚える知恵”が増えていくのが、鉄工所の魅力です。

そして溶接。鉄工所の象徴とも言える工程であり、同時に最も奥が深い工程です。溶接には、アーク溶接、半自動溶接、TIG溶接、スポット溶接など様々な方法があり、材料や板厚、求められる強度や外観に合わせて選択します。溶接の難しさは、強度だけではありません。熱による歪みが必ず発生し、寸法が狂うリスクがあります。だから仮付けの位置と数、溶接順序、対称溶接、治具の固定、冷却のタイミングなど、歪みを抑える工夫が不可欠です。さらに溶接は“目に見える品質”でもあります。ビード形状が乱れていれば見た目で分かるし、スパッタが多い、溶け込みが浅い、アンダーカットがあるなど、品質の差が表面に出やすい。だからこそ上達の実感が得やすく、技術者としての誇りも育ちやすいのです。

組立と仕上げは、加工工程の集大成です。各部材の寸法を合わせ、直角や通りを出し、必要な補強を入れ、最終形状に仕上げます。ここで重要なのは、単に組み立てるだけでなく、現場での据付や施工のしやすさまで考えることです。現場でボルトが締めやすいか、搬入経路を通るか、クレーンで吊れるポイントがあるか、点検のためのスペースを確保できるか。鉄工所は「作る」だけでなく「使われる」ことを見据えて形にする必要があります。この視点が持てるようになると、仕事の価値は大きく上がります。

最後に防錆と塗装。鉄は錆びる素材です。屋外や湿気の多い場所では特に腐食が進みやすく、放置すれば強度低下や安全リスクにつながります。だから鉄工所では、ケレンや下地処理を丁寧に行い、適切な下塗りを施し、上塗りで膜厚を確保します。塗装は「見た目のため」と思われがちですが、本質は耐久性の確保です。長く安全に使ってもらうための工程であり、鉄工所の仕事を未来へ延ばす役割を担っています。

このように鉄工所の現場は、一つひとつの工程がつながり、最終品質を形づくります。小さなミスが後工程に波及し、大きな手戻りになる世界だからこそ、段取りと基本が重要になり、技術が磨かれます。そして技術が磨かれるほど、作れるものの幅が広がり、より難しい案件に挑戦できるようになる。鉄工所業の魅力は、技術の積み重ねがそのまま成長となって現れ、社会に役立つ形で残ることにあります。

三陽鉄工所メカニック通信~9~

皆さんこんにちは!

有限会社三陽鉄工所の更新担当の中西です。

 

「まちの骨格」をつくる仕事

鉄工所という言葉から、多くの人は「鉄を切って、溶接して、組み立てる場所」というイメージを思い浮かべるでしょう。それは間違いではありません。しかし鉄工所の本質は、単なる加工場という枠に収まりません。鉄工所は、社会を成立させるための“骨格”をつくる仕事です。建物の階段や手すり、工場の架台や配管支持、倉庫のフレーム、機械設備の部品、搬送装置の構造体、店舗の看板フレーム、門扉やフェンスなど、私たちが日常で目にする「当たり前の構造物」の裏側には、鉄工所の技術と判断が息づいています。普段は意識されにくい一方で、鉄工所の仕事が止まると建設も製造もメンテナンスも滞ります。目立たないが欠かせない。そこにまず、鉄工所業の大きな魅力があります。

鉄工所が扱う鉄は、硬く、重く、冷たい素材です。素材としては扱いにくい側面もあります。ところが、その鉄を「使える形」に変えるためには、人間の知恵と技術が必要です。切断、穴あけ、曲げ、溶接、研磨、塗装、組立、据付。これらの工程を通して、ただの材料だった鋼材が、目的を持った構造物へと変化していきます。加工が進むにつれて、形が立ち上がり、寸法が整い、強度が保証され、機能が生まれる。そのプロセスは、ものづくりの醍醐味そのものです。鉄工所の魅力は、成果が手触りのある形で現れる点にあります。完成品は重く、堅牢で、明確に「存在」します。自分が関わった仕事が、目に見える形で社会に残る。これは、達成感が非常に大きい世界です。

鉄工所の仕事は図面から始まります。図面には寸法、材質、板厚、穴位置、溶接記号、仕上げ、組立順序のヒントなど、数多くの情報が詰まっています。鉄工所の技術者は、図面を“読む”だけではなく、“現場で成立させる”ために理解します。例えば、あるフレームを組み立てる場合、溶接順序を誤れば歪みが発生して寸法が合わなくなることがあります。材料の取り都合を間違えれば、後の穴あけ位置がズレることもあります。現場に搬入する際の運搬条件や、据付時の作業手順を考慮しないと、完成品が現場で取り付けられないリスクもあります。鉄工所では、図面と現場を往復しながら「成立させるための判断」を連続的に行います。ここに、机上だけでは得られない実務知の面白さがあります。

また鉄工所の仕事には、一品ものやオーダーメイドが多いという特徴があります。大量生産の製造業とは異なり、建築金物や現場架台、設備改修部材などは、現場ごとに条件が異なります。既存設備の寸法に合わせる、干渉物を避ける、耐荷重を満たす、作業者の動線を確保する、点検性を確保する。こうした条件を踏まえた“解決”を形にするのが鉄工所です。だからこそ案件ごとに課題が違い、同じ作業の繰り返しになりにくい。飽きにくい仕事であり、経験を積むほど引き出しが増える仕事です。ある現場で学んだ工夫が別の現場で活きる。その積み重ねが、職人としての成長を確かなものにします。

鉄工所業の魅力を語るうえで欠かせないのが、安全と品質への責任です。鉄工所がつくる構造物は、人が使う、あるいは人の近くに設置されることがほとんどです。手すりなら人の体重がかかります。階段なら毎日多数の人が上り下りします。架台なら機器の荷重を受け続けます。もし溶接不良があれば、破断や落下の危険が生じます。穴位置がズレてボルトが適切に締結できなければ、施工不良や耐力不足の原因となります。防錆処理が不十分なら腐食が進行し、長期的な劣化を招きます。だから鉄工所では、見えない部分にこそ気を配ります。ビードの形状、溶け込み、歪み、寸法精度、膜厚、ボルト孔の精度。そうした品質を当たり前に確保する姿勢が、信頼を生み、仕事を継続させる。目立たないが社会の安全を支える“裏方の主役”であることが、鉄工所業の誇りであり魅力です。

鉄工所の仕事が完成したときの喜びは、単に納品して終わるものではありません。自分が加工したものが現場に取り付けられ、人がその上を歩き、手すりを握り、機械が安定して稼働し続ける。街のどこかで、自分の仕事が静かに役立ち続けている。後日その場所を通ったとき、あるいは同業者と話したときに、「これは自分がつくった」と胸を張れる。そうした感覚は、鉄工所ならではのものです。鉄工所業の魅力は、鉄という素材を通して、社会の土台を支える“確かさ”を手のひらで実感できることにあります。

三陽鉄工所メカニック通信~8~

皆さんこんにちは!

有限会社三陽鉄工所の更新担当の中西です。

 

さて今回は

~技術革新と人材育成~

 

 

近年、鉄工業界は大きな変革期を迎えている。
DX(デジタルトランスフォーメーション)、ロボット溶接、3D CAD、レーザー切断機――
現場の風景はここ10年で劇的に変わった。

機械化・自動化の波

ロボット溶接は、安定した品質とスピードを実現し、人的ミスを減らす。
レーザー切断機は、複雑な形状を高精度で短時間に仕上げる。
しかし、機械は「図面通りにつくる」ことはできても、「図面を超えて工夫する」ことはできない。
つまり、機械化が進むほど、“人の判断力と段取り力”がより重要になる。

若手教育の要点

鉄工所の技能は、見て・触って・感じて身につく。
図面を見ただけではわからない“鉄のクセ”を体感することが、若手育成の第一歩だ。

教育のポイントは次の3つ。

  1. まずは「安全行動」が体に染みつくまで教える。

  2. 図面理解と工具名を並行して学ばせる。

  3. 失敗を責めず、「原因を一緒に探す」姿勢を持つ。

“叱る”教育から“支える”教育へ。
これが、技能継承を成功させるためのキーワードである。

鉄工所のこれから

鉄工業は、AIやロボットに置き換えられない最後の「職人産業」と言われる。
なぜなら、構造物には「現場ごとの個性」があるからだ。
寸法は同じでも、溶接姿勢、風、温度、組立順――条件は常に異なる。
その都度、最適な判断を下せるのは人間の経験と勘である。

だからこそ、鉄工所の未来は“人と技術の融合”。
自動化と職人技が共存する「ハイブリッド型工場」こそ、これからの理想形となるだろう。


総括

鉄工所の仕事は、単なる「製造」ではない。
構造物の安全を支え、社会の基盤を築く使命を持つ。
図面の線が形になり、鉄が建築物として立ち上がる瞬間。
その裏にあるのは、見えない努力と誇りだ。

鉄工業は今も進化を続けている。
変化する時代の中でも、鉄を扱う人の手と心だけは変わらない。
それが、鉄工という仕事の本当の価値である。

三陽鉄工所メカニック通信~7~

皆さんこんにちは!

有限会社三陽鉄工所の更新担当の中西です。

 

さて今回は

~安全と効率~

 

 

鉄工所の現場は、火花・重機・高温・重量物が日常的に存在する。
だからこそ、安全管理は全員参加の文化でなければならない。

KY活動と危険予知

作業前ミーティング(KYミーティング)では、その日の作業内容・危険箇所・対策を明確にする。
「昨日と同じ作業だから安全」ではない。
鉄板一枚の配置が違えば、足場も通路も変わる。
日ごとの変化に敏感であることが、事故を防ぐ第一歩となる。

熱・酸欠・火花 ― 3つのリスク管理

  1. 熱対策:溶接作業中は鉄が数百度に達する。皮膚接触は即火傷。必ず手袋・腕カバー・遮光面を使用する。

  2. 酸欠防止:タンク・ピット内部作業では酸素濃度測定が義務。換気・連絡員配置が必須。

  3. 火花管理:火花は5メートル以上飛ぶ。周囲の可燃物を撤去し、火花養生を徹底する。

小さな油断が大事故につながる。
「確認してから動く」この一言が、何よりの安全行動である。

ヒヤリ・ハットの共有文化

事故を未然に防ぐためには、「ヒヤリ・ハット」事例を共有することが重要。
「危なかった」で終わらせず、「なぜ危なかったのか」「どうすれば防げるか」を全員で検討する。
鉄工所の安全文化は、こうした日々の“共有”の積み重ねによって築かれる。

安全と生産性は両立する

安全対策を“作業の妨げ”と考えるのは誤りである。
むしろ、安全を確保することで動線が整理され、作業効率は向上する。
整理整頓された現場ほど、動きが早く、無駄が少ない。
鉄工所における「美しい現場」は、そのまま「安全で生産的な現場」を意味する。

三陽鉄工所メカニック通信~6~

皆さんこんにちは!

有限会社三陽鉄工所の更新担当の中西です。

 

さて今回は

~品質を守る~

 

鉄工所の品質を決定づけるのは、「つくる」工程だけではない。
むしろ、それを“どう測り、どう保証するか”が品質の根幹を成す。

鋼構造物は、最終的に橋梁・建築・プラント・機械架台などの「命を預かる構造物」として使用される。
つまり、ひとつのミスが人命に直結する。
そのため鉄工所では、JIS、ISO、建築基準法、国交省基準など、厳格な検査基準のもとで管理が行われている。

寸法検査と治具管理

製作の初期段階で重要なのは、切断・孔あけの寸法精度。
レーザーやプラズマでカットしても、熱影響で1mm単位の誤差が出ることがある。
そのため、治具(定規)やゲージを定期校正し、基準を保つことが基本。
「工具が狂えば、製品も狂う」――これが現場の鉄則だ。

溶接部の外観・非破壊検査

溶接部は見た目がきれいでも、内部に空洞(ブローホール)や割れがある場合がある。
そのため、目視検査に加え、超音波探傷検査(UT)や磁粉探傷検査(MT)を実施。
見えない部分まで確認することで、安全性を数値的に保証している。

検査員は、資格を持った有資格者のみ。
一見地味な作業だが、この検査データが最終的な納入証明書(ミルシート)や品質記録の裏付けとなる。

塗装・防錆処理も品質の一部

鉄は空気と水があれば必ず錆びる。
だからこそ、塗装工程は単なる“見た目の仕上げ”ではなく、構造物の寿命を左右する工程である。
防錆下地、仕上げ塗り、膜厚測定――これらを一つでも怠れば、数年後に再施工が必要となる。
品質とは、納品時の見た目ではなく、「10年後にどう残るか」で評価される。

三陽鉄工所メカニック通信~5~

皆さんこんにちは!

有限会社三陽鉄工所の更新担当の中西です。

 

さて今回は

~鉄工の原点~

 

 

鉄工所の仕事は、一言で表すなら「設計を現実にする」仕事である。
図面上に描かれた線を、実際の構造物として立ち上げる――それが鉄工の本質だ。
しかし、その一文の中に含まれる工程の多さと、精度の要求の高さは、他のどんな製造業にも引けを取らない。

鋼材の選定、切断、孔あけ、溶接、組立、仕上げ、塗装。
一連の流れの中で、0.5mm単位の誤差が積み重なれば、数十メートルの構造物では致命的なズレとなる。
この「許されない誤差」を抑え込むのが、鉄工職人の腕であり、現場全体の品質管理体制である。

図面を読む力

鉄工の現場でまず問われるのは「図面を読めるかどうか」だ。
CADで描かれた平面図や立体図を、頭の中で立体的に再構築できなければ、作業の方向性が見えない。
特に架台や階段、手摺などの形状は複雑で、同じ寸法でも溶接順や組立手順を誤れば、歪みや変形が生じる。
ベテランほど、図面の寸法線の背後に「溶接後の姿」を想像している。

図面を“読む”とは、単に寸法を確認することではない。
そこに込められた意図――荷重方向、取り合い条件、現場での据付姿勢――を理解することで初めて、正しい工程設計ができる。

鉄と向き合う「熱」と「冷却」

溶接の瞬間、鉄は千度を超える高温に晒され、瞬時に膨張する。
そして冷めるときに収縮し、歪みを生む。
この物理現象を理解せずに作業を進めると、出来上がりの精度は著しく低下する。
熟練工が溶接順を組む際、あえて「逆順」で溶接を入れたり、仮付けで“逃げ”を取るのは、この熱変形を見越しての判断だ。

「溶接は鉄と会話する仕事」と言われる所以はここにある。
材料ごとに熱の通り方や収縮率は異なり、天候や湿度でも結果は変わる。
機械では補えない“感覚の補正”が、鉄工職人の価値を支えている。

現場で育つ精度感

鉄工所の精度は、測定機器だけでは保証されない。
溶接ビードの幅、ボルト孔の位置、仕上げ角度――どれも最終的には「手」が決める。
作業員一人ひとりの意識と習慣が、会社全体の品質を形づくる。

1mmのズレを「まあいいか」で済ませる現場に、長期的な信頼は生まれない。
反対に、「1mmのズレを修正しておこう」と全員が考える現場は、自然と信頼を得る。
鉄工所とは、精度と誇りの積み重ねの場所だ。

三陽鉄工所メカニック通信~4~

皆さんこんにちは!

有限会社三陽鉄工所の更新担当の中西です。

 

さて今回は

~“黒字で続ける”~

 

1|見積は“時間×レート×リスク”で決める

  • 加工時間(サイクル+段取+測定)×工賃レート材料・治具・外注・検査間接費利益

  • リスク係数(初品/短納期/高難度/客先監査)を**+5〜20%**で上乗せ。

  • 価格の説得力工程展開表主要条件の提示。

  • 見積自動化:CAMから時間見積→ERPに連携で24h回答へ。


2|原価管理:見える化が最強

  • 工程ごとの実績時間をバーコードで収集。

  • 差異分析(見積−実績)を毎週レビュー→標準時間更新。

  • 工具管理:刃先の寿命・単価・コスト/個をダッシュボード化。使い切りと再研磨の分岐点を数値で判断。


3|納期信頼=ブランド

  • 負荷山積み山崩しで機種別能力を均す。

  • ボトルネック工程(研削/ワイヤー)予備設備 or 外注ネットワークを用意。

  • 異常時フラグ(機械停止>30分、ツール欠品、検査NG)を即Slackに発報→生産計画が自動再編成


4|自動化投資:段取替えと夜間無人

  • ROIの基準は回収3年以内

  • ロボット+パレットチェンジャで多品種小ロットを夜間運転。

  • 工具折損検知・機上洗浄・チップコンベアまで揃えると真の無人化に近づく。

  • AI外観検査はバリ・欠けの一次ふるいに有効。


5|人材育成:技能×デジタルのハイブリッド

  • 育成ルート:機械安全→図面→工具→荒加工→段取り→機上計測→プログラム修正→工程設計。

  • OJT台帳でできる/できないを見える化、評価は行動(5S・ヒヤリ・改善提案)。

  • 技能伝承動画を社内ライブラリ化、失敗事例も共有して“転ばぬ先の杖”。


6|営業とブランディング

  • 得意領域の明文化(例:HRC50の研削±0.003、医療向けRa0.1、5軸1000×500×400など)。

  • リードタイム別価格(標準/加急/超特急)で“速さ”を収益化。

  • 顧客教育型ブログ(このシリーズ!)でDFM(製造容易化)の知識を提供→価格の納得指名買いを生む。


7|サステナビリティと安全

  • ミスト回収/切削油リサイクル/省エネインバータでコストと環境を両立。

  • 安全はKY・リスクアセス・ヒヤリハット共有を日次で。“無事故は最大の利益”


8|まとめ

鉄工所の競争力は、再現性・スピード・誠実な記録
顧客の「困った」をデータと技術で解決し続けることで、価格競争から価値競争へシフトできます。

三陽鉄工所メカニック通信~3~

皆さんこんにちは!

有限会社三陽鉄工所の更新担当の中西です。

 

さて今回は

~“測って、守る”品質保証~

 

1|MSA(測定システム解析)で“測る側”を検査

  • R&R(繰返し性・再現性):管理公差の10%以下が理想、30%超は要改善。

  • バイアス/直線性評価でCMM・粗さ計のを把握。

  • ゲージ管理台帳:校正周期、責任者、トレーサビリティ番号をQRで紐づけ。

合否は“人”ではなく“仕組み”が決める。検査者の属人化を排除。


2|SPC(統計的工程管理)で“傾向”をとらえる

  • Xbar-R管理図で日々のバラツキを監視。

  • Cp/Cpk:1.33以上で安定、1.67以上で顧客特殊特性に対応。

  • ルール違反(連続7点同側等)をアラート工具交換/補正を自動指示。


3|不良の未然防止:FMEAとPoka-Yoke

  • FMEAで重篤度S×発生頻度O×検出DのRPNを算出し、上位から手を打つ。

  • 代表例:

    • 逆向き取付位置キー+センサーで機械が動かない。

    • 誤番手工具→工具ID読み取り。

    • 熱変位ウォームアップ義務化主軸温調


4|クリーンネス:油圧・医療・半導体向け

  • 洗浄はアルカリ→超音波→純水→IPA→クリーン乾燥

  • 清浄度測定(ISO 16232等):粒径>10μmの粒子数・重量を記録。

  • クリーン梱包:無塵袋+乾燥剤、手袋着用を徹底。


5|トレーサビリティと電子帳票

  • ロットNo./材料証明/機械・工具履歴/検査データを1枚のe-トラベルシートに集約。

  • 変更履歴は版管理(Rev.)、過去版の閲覧制限で誤配布防止。

  • 監査対応は検索5秒以内を目標に。


6|クレームゼロへの道:8Dレポート

顧客からの不具合は8Dで処理(チーム編成→問題定義→暫定対策→原因解析→恒久対策→再発防止→成果称賛)。感情で謝り、事実で直す


7|まとめ

品質は“最後に検査で作る”のではなく、工程で作る。次回は見積・原価・納期・自動化投資など、鉄工所経営のリアルを共有します