
皆さんこんにちは!
有限会社三陽鉄工所の更新担当の中西です。
さて今回は
要求:外径g6、公差±0.006、同心度0.01、面粗さRa0.8。
推奨ルート:
丸棒切断→センタ穴→2芯連(表裏)で荒旋削。
中間焼鈍→外径0.2残し。
反対側チャッキングで仕上旋削。
ブローチでキー溝、C0.5面取り。
円筒研削でg6仕上げ(真円度0.003狙い)。
バランス取り→CMM測定。
ポイント:センタ穴の保護、環境20℃、同一基準保持で同心度を担保。
ルート:
黒皮研削→基準面G1を作る。
G1を基準に対向面研削→平行度確保。
四辺フライス→直角度0.02/200。
穴位置度0.05は機上プローブで原点補正→下穴→リーマ。
面粗さRa0.8指定部は仕上げエンドミル+微量オイル。
ポイント:SUSの加工硬化を避ける連続切削、クランプ痕対策に銅板当て。
ルート:
プレートからワイヤー放電で外形粗取り。
真空チャックで外径仕上→内径ボーリング。
変形を見越し、内外を交互に少しずつ削る。
最後に面取り0.2、平面度はラップで0.01以内。
ポイント:チャッキング圧を最小に、残留応力の解放を段階的に。
ルート:
円筒研削荒→中。
超仕上(ホーニング)でRa0.05。
先端は放電仕上で微細形状。
ポイント:砥石のドレッシング頻度管理、クーラント濾過1μm。
同時5軸+ツールセンターポイント制御で段取り数を半減。
**複合機(旋盤+ミル)**で芯ずれリスクを削減。
機上計測→自動補正で“人の勘”の幅を狭める。
ツールプリセッタで工具長オフセットを事前登録。
バリ方向を後工程に出ない向きへ逃がす刃先進入。
エッジ品質表記(C0.2、R0.3、K0.1×45°)で“誰が見ても同じ”に。
医療/油圧部品は洗浄(超音波+純水リンス)と清浄度規格(粒径・質量)を明文化。
複雑な部品でも基準の一貫性・熱と応力の制御・段取りの整理で、精度とコストは両立します。次回は**品質保証の作り方(MSA・SPC・不良ゼロの仕組み)**を深掘りします
皆さんこんにちは!
有限会社三陽鉄工所の更新担当の中西です。
さて今回は
精密部品加工は「材料×設備×段取り×計測×記録」の総合格闘技。とくに鉄工所では鋼・ステンレス・アルミ・銅合金・工具鋼など多品種材を扱い、旋削・フライス・研削・放電・ブローチ・ホブ・ワイヤー・レーザー…と工程が多段化します。本稿では誤差を最小化して再現性を高める基本戦略を、現場の言葉で解説します。
基準(Datum):A/B/Cの取り方で検査基準が決定。加工基準≒測定基準に揃えると後工程の補正が軽くなる。
幾何公差(GD&T):位置度・同軸度・円筒度・平面度・輪郭度・直角度。許容差とボーナス公差の理解はコスト直結。
面粗さ(Ra/Rz):切削でRa1.6、仕上げ研削で0.4、ラッピングで0.05といった狙いの段取りを図面段階で合意。
熱処理歪み:焼入れ後の膨張/収縮を見越した仕上しろの設計(例:浸炭焼入れ→研削0.2〜0.4mm残し)。
Tips:最初の打合せで「基準・測定方法・合否判定」を3点セットで決めると、後の“もめ事”が消える。
炭素鋼(S45C等):切削性良好、熱処理でHRC50近傍まで。黒皮はスケール除去を忘れず。
合金鋼(SCM/SCr):強度と耐摩耗性、ただし熱伝導低くバイトに熱が残る→クーラント最適化。
ステンレス(SUS304/316/420J2):加工硬化しやすい→切れ味優先の工具&切削抵抗を途切れさせない送り。
アルミ(A5052/6061/7075):高能率切削、ただし溶着対策で高ポリッシュ刃とミスト。
銅合金:バリ管理と刃先欠けに注意、微量切削油+微少送り。
調達はミルシート/熱処理証明/ロット追跡をQR化して現場端末で閲覧できるように。トレーサビリティ=信頼
荒加工:高送り・高切り込みで形出し(旋削/ミーリング)。基準面はこの工程で一発で作る。
熱処理・時効:必要に応じて中間熱処理。
中仕上:歪みの“顔出し”を見極める工程。クランプ力を弱めて自由状態に近づける。
仕上加工(研削・ホーニング・ラップ):温度管理(20±1℃)と同一基準クランプで最終公差へ。
表面処理:窒化・硬質クロム・黒染め・アルマイト等。膜厚と寸法の相互作用を計算に入れる。
温度差は敵:鋼で1mあたり10℃で約0.12mm伸縮。小物でも測定室環境とワーク温調は必須。
切削速度Vc(m/min)=πDN/1000、送り量f、切込apの三点最適化。
工具材種:超硬(P/M/K)、**コーティング(TiAlN/AlCrN/DLC)**の組合せで被削材ごとの最適点を持つ。
びびり対策:突出長さL/Dを3以下、工具ホルダは防振、切削条件は周波数帯を外す。
クーラント:ステンレスは高圧クーラントで切屑分断、アルミはミスト/エアブローで付着抑制。
**実験設計(DoE)**で“1ロット犠牲にしてでも最適点を掴む”と、以降の総コストは必ず下がる
ゼロ点治具で交換時間を短縮。
真空チャック/コレット/マンドレルの使い分け。薄物は負圧、長物は芯押し+定圧。
誤装着ポカヨケ:キー溝・ピン・QR読取で“置き間違い”ゼロ。
熱変位補正:主軸温調+機上計測(プローブ)で自動補正。
CMM(三次元測定機)、形状測定機、粗さ計、投影機。
**MSA(測定システム解析)**で繰返し性/再現性(R&R)を評価。
SPCで工程能力(Cp/Cpk)をモニタし、予防保全へ。
精密加工の本質は「どの基準で、どの温度で、どう再現するか」。次回は実際の工程設計(旋削→フライス→研削→放電)をケースで分解し、コストと精度の両立を掘り下げます
弊社の「精密部品加工」( https://metoree.com/products/299136)の製品を、研究者・エンジニア向けの[メーカー・代理店比較の「Metoree」]( https://metoree.com/ )に掲載しました。
TAKISAWA TT-2100G を導入しました。